二拠点生活とは?会社員がリモートで始める費用と方法

働き方・事業

「都会を離れて自然のそばで暮らしたい。でも仕事は辞められない」。そう感じている会社員は少なくありません。その解決策のひとつが、2つの地域を行き来する二拠点生活です。

結論から言うと、フルリモートで働く会社員なら、二拠点生活は仕事を辞めずに始められます。ただし固定費が増える構造は避けられないため、費用と目的を先に整理することが欠かせません。

この記事では、二拠点生活の定義から移住との違い、メリット・デメリット、費用の目安、会社員向けの始め方の手順までを一気に解説します。私自身は二拠点ではなく完全移住を選んだ側なので、その比較の視点も添えます。

二拠点生活(デュアルライフ)とは?

2つの地域を行き来する二拠点生活のイメージ

二拠点生活とは、生活の拠点を2つ持ち、行き来しながら暮らすスタイルです。デュアルライフや二地域居住とも呼ばれ、リモートワークの普及で「働く場所」の制約が緩んだことから注目が高まっています。

定義と「二地域居住」との関係

二拠点生活は、都市と地方など性格の異なる2つの場所に住まいを持つ考え方です。国や自治体の文脈では「二地域居住」という言葉が使われることも多く、ほぼ同じ意味で扱われます。

平日は都市の拠点、週末は地方の拠点というように、目的に応じて滞在の比率を変えられるのが特徴です。どちらか一方を完全に手放すわけではない点が、移住との大きな違いになります。

なぜ今注目されるのか(リモートワークの普及)

かつて別荘暮らしの印象が強かった二拠点生活も、フルリモート勤務の広がりで会社員にも現実味を帯びてきました。

出社が前提でなくなれば、平日をどこで過ごすかは自分で選べます。私自身、コロナ禍でフルリモートになったことが、東京を離れる最初のきっかけでした。

二拠点生活と移住はどう違う?どちらを選ぶべきか

二拠点生活と移住を天秤にかけて比較する場面

二拠点生活と移住の一番の違いは、都市の拠点を残すかどうかです。合わなければ都市に戻れる「お試し」ができるため、いきなり移住するのが不安な人ほど、まず二拠点から試す価値があります。

手軽さ・住民票・コミュニティの違い(比較表)

両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目 二拠点生活 移住
都市の拠点 残す 手放す
始めやすさ 高い(引き返せる) 低い(決断が重い)
固定費 増える(2拠点分) 大きく変わらない
住民票 原則どちらか1つに置く 移住先へ移す
地域コミュニティ 浅くなりがち 深く根ざしやすい

住民票は、生活の本拠地となる1カ所に置くのが原則です。二拠点でも両方には置けないため、滞在日数や行政サービスの利用実態から主たる拠点を決めます。

【体験】二拠点を検討して”完全移住”を選んだ理由

私は二拠点ではなく、段階的な完全移住を選びました。2021年に東京から大分市へ、2024年には大分市から日田市の古民家へと拠点そのものを移しています。この移住の経緯や、フルリモートのまま地方に移住できる条件はフルリモートで地方移住はできる?会社員の2段階移住体験談で詳しく解説しています。

決め手は、地方でやりたいことが「行き来」では完結しなかったことです。家庭菜園や民泊の準備、地域の若手農家との関係づくりは、腰を据えてこそ前に進みます。

とはいえ、これは目的が地方側に定まっていたからの選択です。二拠点は移住の前段階として、とても有効な選択肢です。

正直に言うと、私自身は二拠点生活を具体的に試算したり物件を探したりする検討段階を踏んでいません。移住の目的が最初からはっきりしていたため、二拠点というステップを飛ばして完全移住に進んだ形です。

二拠点生活のメリット

地方の拠点で気分をリセットしてリフレッシュする様子

二拠点生活の魅力は、暮らしにメリハリと選択肢が生まれることです。

生活のメリハリ・気分のリセット

最大のメリットは、環境を切り替えることで気持ちを整えやすくなる点です。都市で集中して働き、地方で自然に触れて休む。この往復が生活のリズムを作ります。

同じ部屋で仕事と休息を続けると、気分の切り替えは難しくなりがちです。拠点そのものを変えられれば、頭の中も自然と切り替わります。

災害リスクの分散/人間関係と経験の幅

拠点が2つあることは、リスクの分散にもつながります。片方の地域が災害に見舞われても、もう一方に生活の基盤が残る安心感は小さくありません。

さらに、地域が2つになれば出会う人も経験も倍に広がります。都市の仕事仲間と、地方で知り合う農家や職人。異なるコミュニティを持つことは、価値観の幅を確実に広げてくれます。

二拠点生活のデメリット・注意点

二拠点生活で増える固定費や移動の負担を考える場面

一方で、二拠点生活には見過ごせないデメリットもあります。始める前に、コストと手間の現実を正しく知っておくことが大切です。

固定費が増える(移動費・二重の家賃)

最も大きな負担は、家賃や光熱費が2拠点分かかることです。1つの家で暮らすより固定費が増えるのは、構造上避けられません。

加えて、2つの拠点を行き来する交通費も毎月積み上がります。頻度と距離のバランスは、最初に見積もっておきたい点です。

管理の手間・手続きの複雑さ

拠点が2つになれば、掃除や光熱費の契約といった管理も2倍になります。長く空ける方の家は、換気や防犯にも気を配る必要があります。

住民票や行政手続き、地域コミュニティへの関わり方も複雑になりがちです。片方の地域では「たまに来る人」になりやすく、関係を深めるには意識的な工夫が求められます。

二拠点生活にかかる費用の目安

二拠点生活の費用の内訳を家計簿で確認するイメージ

二拠点生活の費用は、月10万〜20万円程度が一つの目安とされます。おおむね1拠点の暮らしの約1.5倍を見込んでおくと、大きくは外しません。

ただし、これは地域や物件で大きく変わる一般的な目安です。

ランニングコスト(家賃・光熱費・通信・交通)の内訳

月々かかる費用の代表例が、次のイメージです。地方都市と山間部で拠点を持つ想定の一例になります。

項目 月額の目安
家賃(2拠点分) 約8万円(各4万円)
光熱費 約1.5万円
通信費 約0.8万円
交通費 約2.5万円
合計 約13.8万円

出典系の解説記事をもとにした一例で、実際の金額は生活スタイルで変動します。単身で月2万円台の物件や、ゲストハウス・民泊を月1.5万円ほどで使う低コストな組み合わせもあります。

初期費用の目安/【地方目線】大分・日田の家賃感

賃貸で拠点を増やす場合、初期費用は家賃の4〜6カ月分が目安です。敷金・礼金・仲介手数料・当面の家具代を含めた金額と考えてください。

私が東京から大分市へ移った際は、同じ家賃で1DKから2LDKに広くなりました。街の利便性は東京の主要駅エリアに近く、それでいて家の広さは段違いです。

一方で、空港や他県へのアクセスは不便になりました。二拠点の地方側を選ぶときは、家賃の安さだけでなく、都市側への移動のしやすさも合わせて見るのが現実的です。

会社員が二拠点生活を始める手順(4ステップ)

会社員が二拠点生活を始める4つのステップを整理する様子

会社員が二拠点生活を始めるなら、順番が大切です。結論として、目的を決めてから住まいを探すと失敗が減ります。

(1)目的と滞在頻度を決める (2)エリアを選ぶ (3)住まいを確保する (4)仕事・住民票の段取り

進め方を4つのステップに分けて整理します。

  1. 目的と滞在頻度を決める。何のための地方拠点か(休息・農・将来の移住準備など)と、月に何日滞在するかを先に固めます。
  2. エリアを選ぶ。都市側への移動時間、生活の利便性、やりたいことができる環境で候補地を絞ります。
  3. 住まいを確保する。賃貸・マンスリー・空き家バンク・シェアなど、頻度に合った形を選びます。滞在が少ないなら初期費用の軽い形が向きます。
  4. 仕事・住民票の段取り。勤務先のリモート規定を確認し、住民票をどちらに置くかを決めます。会社によって勤務地の扱いが異なるため、事前確認が欠かせません。

フルリモートでも「居住地の届け出」が必要な場合があるため、早めに人事へ確認しておくと安心です。

自治体の支援制度・補助金も確認を

多くの自治体が、移住・二地域居住に向けた支援制度を用意しています。住まいの改修費補助やお試し住宅など、内容は地域ごとに大きく異なります。

金額や条件は年度で変わるため、候補地が決まったら自治体の公式情報で最新版を確認してください。

二拠点生活が向いている人・向かない人

二拠点生活が向いている人と向かない人を対比するイメージ

二拠点生活が向くのは、地方でやりたいことがあり、増える費用を許容できる人です。

向いているのは、次のような人です。

  • フルリモートで働く場所を選べる会社員
  • 地方でやりたいこと(農・趣味・将来の移住準備)が具体的にある
  • 固定費が増えても暮らしにメリハリを求めたい

逆に、移動の負担や二重の固定費が大きなストレスになる人には、無理のない範囲での「お試し」からをおすすめします。目的が地方側にはっきり定まっているなら、私のように完全移住を検討してもよいでしょう。

まとめ|まずは「お試し」から始めよう

お試しから始める二拠点生活の第一歩を象徴する場面

二拠点生活は、フルリモートの会社員が仕事を辞めずに始められる暮らし方です。最後に要点を3つに絞ります。

  • 二拠点は都市の拠点を残せるため、移住より引き返しやすい選択肢
  • 費用は月10万〜20万円が目安。1拠点の約1.5倍を見込み、内訳で管理する
  • 始め方は「目的→エリア→住まい→仕事・住民票」の順。勤務規定と自治体支援は要確認

まずは短期の滞在やマンスリーで、地方の暮らしを試すところから始めるのが現実的です。そのうえで「腰を据えたい」と感じたら、完全移住も視野に入ってきます。

余談ですが、私は大分県内でいくつか収益アパートを持つ不動産オーナーでもあり、不動産という選択肢には人一倍親しみがあります。大家仲間の中には、自宅とは別の遠方に自分の民泊物件を持ち、そこへ泊まりに行くという二拠点的な暮らし方をしている人もいて、正直なところ憧れる部分もあります。資金力がつき、自分たちも心地よく過ごせる質のいい物件を持てるようになったら、二拠点、三拠点と拠点を増やしていきたいという野望も密かに抱いています。

あなたの働き方に合った拠点の持ち方を、ここから設計してみてください。

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