民泊の始め方|3制度の違いを開業準備中の私が整理

働き方・事業

民泊の始め方を調べ始めて、最初につまずくのが「法律が3つある」という事実だと思います。旅館業法、住宅宿泊事業法(民泊新法)、特区民泊。名前は聞くけれど、自分の物件でどれを選べばいいのか、なかなか判断できません。

結論から言うと、制度選びは「物件の所在地→営業したい日数→手続きの許容度」の順に考えると迷いません。この記事では、大分県日田市で1組限定の民泊を開業準備中の私が、3制度の違いを比較表で整理し、目的別の選び方まで解説します。数値や要件は執筆時点で国交省などの一次情報を確認しています。ただし細部は自治体で運用差があるため、最終判断は必ず管轄窓口でご確認ください。

民泊には3つの制度がある(まず全体像)

民泊の3つの制度を示す道しるべのイラスト

民泊を営むための法律は、大きく分けて3つあります。旅館業法(簡易宿所営業)、住宅宿泊事業法(通称・民泊新法)、そして国家戦略特別区域法にもとづく特区民泊です。

なぜ制度が3つに分かれているのか

もともと宿泊業は旅館業法だけで規制されていました。そこへ、外国人旅行者の受け入れを進めるための特例として特区民泊が生まれました。さらに2018年6月に住宅宿泊事業法が施行され、一般の住宅でも届出で民泊ができるようになりました。成立の背景が違うため、許可の重さや営業できる日数に差があるのです。

一番の分かれ目は「営業日数」と「許可の重さ」

3制度を見比べるとき、最初に押さえたいのは2点です。1つは年間で何日営業できるか。もう1つは、行政の手続きが「許可」なのか「届出」なのかという重さです。この2軸を頭に入れておくと、次の比較表がぐっと読みやすくなります。

3制度の違いを一覧比較表で整理

3つの民泊制度を並べて比較する表のイラスト

まずは全体像を表で押さえます。細かい理由はこの後の各章で説明します。

項目 旅館業法(簡易宿所) 住宅宿泊事業法(民泊新法) 特区民泊
所管 厚生労働省 国交省・観光庁・厚労省 内閣府ほか
手続き 許可 届出 認定
営業日数の上限 制限なし 年間180日 制限なし
最低宿泊日数 制限なし 制限なし 2泊3日以上
客室面積の目安 延床33㎡以上(10人未満は1人3.3㎡) 宿泊者1人あたり3.3㎡以上 原則1居室25㎡以上(自治体差あり)
対象地域 全国 全国(条例で上乗せあり) 国家戦略特区のみ
管理業者への委託 規定なし 不在型・6室以上は必要 規定なし

手続きの重さは「許可>認定>届出」の順で、届出制の民泊新法が最も入りやすい制度です。一方で営業日数は民泊新法だけが年間180日に制限されます。この「入りやすさ」と「日数制限」がトレードオフになっている、と理解すると全体像がつかめます。

住宅宿泊事業法(民泊新法)とは|180日ルールがカギ

住宅で180日カレンダーを確認する民泊のイラスト

民泊新法は、一般の住宅を使って民泊を営むための制度です。副業や小規模で始めたい個人にとっては、最も現実的な入り口になります。

届出制で手続きが比較的シンプル

民泊新法の手続きは「届出」です。旅館業法の「許可」のように審査を経て可否が決まるものではなく、要件を満たして必要書類を提出する形が基本です。そのぶん、はじめて民泊に挑戦する個人にとってハードルが低いのが特長です。

年間180日の上限と日数の数え方

民泊新法の最大の特徴は、年間の営業日数が180日までに制限される点です。国交省の資料によると、この1年は「4月1日正午から翌年4月1日正午まで」で区切って数えます。

宿泊日数は届出住宅ごとに数え、宿泊料を受けて人を泊めた日は、短時間でも1日としてカウントされます。つまり「泊めた日数」であって「予約が入った日数」ではありません。180日という数字が自分の運営プランで足りるかどうかが、この制度を選ぶかの分かれ目になります。

家主居住型と家主不在型(委託の要否)

民泊新法には、家主が同じ建物にいる「家主居住型」と、いない「家主不在型」があります。国交省の説明では、届出住宅の居室数が5を超える場合は住宅宿泊管理業者への委託が必要です。また、宿泊者を泊める間に家主が不在となる場合も同様に委託が必要です。

逆に言えば、家主が住みながら小規模に運営する家主居住型なら、委託せず自分で管理できる可能性があります。ここは運営スタイルとコストに直結する重要ポイントです。

旅館業法(簡易宿所)とは|営業日数無制限だがハードルが高い

宿の看板と設備を整える簡易宿所のイラスト

旅館業法の簡易宿所営業は、年間の営業日数に制限がありません。本格的に宿泊業として収益化したい人に向いた制度です。

許可制で面積や設備の要件が厳しい

簡易宿所は「許可」が必要で、保健所の審査を通る必要があります。客室の延床面積は33㎡以上が基本ですが、宿泊者を10人未満とする場合は「1人あたり3.3㎡×人数」以上で足ります。ほかにも換気・採光・入浴設備・トイレ数など、構造設備の基準が細かく定められています。

ただし、これらの運用は自治体でかなり差があります。フロントの要否なども含め、最終的には管轄の保健所への確認が欠かせません。

本格的に収益化したい人向け

初期の手続きや設備投資は民泊新法より重くなりますが、180日の縛りがないぶん、稼働を最大化できます。「宿泊業を事業の柱にしたい」「通年で回したい」という方は、旅館業法が選択肢になります。

特区民泊とは|対象地域が限られ、いま縮小局面

地図上の限られた特区エリアを示すイラスト

特区民泊は、営業日数に制限がなく、最低2泊3日以上で運営する制度です。ただし対象地域が国家戦略特区に限られる点が最大のネックで、2026年時点では縮小の動きも出ています。

認定制・最低2泊3日・営業日数無制限

特区民泊は「認定」を受けて営業します。1泊だけの宿泊は認められず、最低2泊3日以上が条件です。客室は原則1居室25㎡以上とされますが、面積などの細目は自治体の条例で差があるため、対象地域では必ず確認が必要です。

対象は国家戦略特区のみ。最新の受付動向

特区民泊が使えるのは国家戦略特区に指定された地域だけです。対象自治体や受付状況は変わりやすいため、本記事では一覧を挙げません。国土交通省の民泊制度ポータルサイトで、自分の物件のあるエリアが対象かどうかを確認してください。

注目すべきは、大阪市が2026年5月29日で新規受付を終了したことです。ゴミや騒音などのトラブル増加が背景とされ、特区民泊は全国的に見ても拡大より整理の局面に入っています。裏を返せば、自分の地域が特区でなければ、この制度は最初から検討対象から外れます。

結局どれを選ぶ?目的別の考え方

3つの道から自分に合う制度を選ぶイラスト

制度の比較ができたら、次は「自分はどれか」です。目的別に整理します。

副業・小規模なら民泊新法

会社員の副業として、あるいは自宅の一室を使って小さく始めるなら、届出制の民泊新法が現実的です。180日の上限はありますが、週末中心の運営や、まず試してみたい段階では十分に足りるケースが多いはずです。

本格収益化なら旅館業法

宿泊業を事業の柱に育てたい、通年で稼働させたいなら、営業日数無制限の旅館業法(簡易宿所)が候補です。手続きと設備のハードルは上がりますが、そのぶん上限なく回せます。

まず「自分の物件が特区かどうか」を確認する

順番として最初にやるべきは、物件の所在地が国家戦略特区かどうかの確認です。特区でなければ、選択肢は旅館業法か民泊新法の実質2択に絞られます。制度から考えるより、まず所在地を確認したほうが早く整理できます。

開業準備中の私が民泊新法に絞り込んでいる理由

日田で民泊を準備する当事者のイラスト

ここからは、日田市内で1組限定の民泊への挑戦を考えている私自身の検討過程です。まだ計画段階なので「成功談」ではありません。制度を選ぶ側の、なまの迷いとしてお読みください。

まず所在地の確認からいくと、日田市は国家戦略特区ではありません。この時点で特区民泊は自動的に候補から外れました。前章で「まず特区かどうか」と書いたのは、自分がこの順序で一気に選択肢が絞れた実感があるからです。

残るは旅館業法か民泊新法の2択です。私が想定しているのは、1組限定の小さな運営です。事業を大きく回すというより、副業として無理なく続けられる構造にしたい。その前提だと、営業日数180日の上限があっても、手続きの軽い民泊新法のほうが現実的だと感じています。

過去にAirbnbで泊まった千葉・舞浜近辺やカナダ・リッチモンドの「暮らすように泊まる」体験が、そもそもの原体験です。あの新鮮さを1組の宿で再現したい、という動機が、小規模運営を選ぶ理由にもつながっています。

結論として、私は民泊新法で進めることに決めています。家主居住型・家主不在型のどちらにするか、管理業者への委託が省けるかどうかは、物件の具体像が固まるこれからの検討課題です。

正直なところ、具体的な準備はこれからのため、まだつまずいた出来事はありません。ただ、法制度は複雑でも、分からない点はAIを使って一つずつ読み解いていけば何とかなる、という手応えは感じています。180日の上限で採算がとれるかどうかは、これから準備を進めながら詰めていく段階です。

まとめ

民泊制度選びの要点を振り返るイラスト

民泊の3制度は、次の順で考えると迷わず絞り込めます。

  • まず物件の所在地を確認する。特区でなければ実質2択になる
  • 営業したい日数で選ぶ。180日で足りれば手続きの軽い民泊新法、通年なら旅館業法
  • 手続きの重さ(許可・認定・届出)と設備要件を、管轄窓口で最終確認する

法制度の細部は自治体で運用差があり、受付状況も年々変わります。この記事の数値は2026年7月時点の一次情報にもとづきますが、実際に動く前に必ず所管の窓口で確認してください。

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