「移住したいけれど、後悔したらどうしよう」。都会の暮らしに疲れて地方移住を考えるほど、この不安は大きくなります。私自身、品川区から大分市、そして日田市へと2段階で移り住みました。結論から言うと、後悔の多くは移住前の確認でかなり防げます。ただし「田舎への一発移動」という思い込みのままだと、思わぬところでつまずきます。この記事では、よくある後悔の理由と、自分の状況に当てはめて使えるチェックリストを、実体験を交えて整理します。
地方移住で「後悔した」とよく聞く7つの理由

まず押さえたいのは、後悔にはパターンがあるという事実です。多くの移住体験談で繰り返し語られる後悔は、次の7つに集約できます。裏を返せば、この7つを事前に潰せば大きな失敗は避けやすいということです。
交通が不便で移動の自由度が下がる
電車が1時間に1本、車は1人1台が前提、近隣都市や空港が遠い。移住して最初に効いてくるのが交通です。私も大分市に住んで、県外への移動のしづらさを痛感しました。詳しくは後述します。
仕事・収入が想定より減る
地方は職種や求人の絶対数が少なく、転職を伴う移住では年収が下がりやすい傾向があります。逆に言えば、フルリモートの仕事を維持できる人は、この後悔を回避しやすい立場にあります。
生活費が思ったより安くない
「地方は生活費が安い」は半分正解です。家賃は下がりやすい一方、プロパンガスは都市ガスの2倍近くになることもあり、車の維持費も家計に乗ってきます。トータルで見ないと誤算が生まれます。
気候・災害リスクを甘く見ていた
夏に下見をして冬の豪雪に驚く、寒暖差や台風で体調を崩す、というケースです。快適な季節だけを見て判断すると、住んでから後悔しやすいポイントです。
地域の人間関係・付き合いの濃さ
自治会の行事や近所付き合いの密度は、都市部と地方で大きく違います。人によっては温かさに感じ、人によっては負担に感じます。合う・合わないの個人差が大きい項目です。
医療・教育の選択肢が少ない
専門医のいる病院が遠い、通える学校や塾の選択肢が限られる。子育て世帯やシニア世帯ほど影響が大きく、若いうちは気づきにくい後悔です。
「理想の暮らし」と現実のギャップ
家庭菜園で自給自足、という理想が、獣害や発育不良であっけなく崩れることもあります。私も古民家の庭で季節野菜やイチジク、ぶどうを育てていますが、手をかけないと育たない現実は、やってみて初めて腹落ちしました。
後悔の正体は「情報不足」と「一発勝負」

7つの後悔を眺めると、根っこは2つに集約されます。「情報不足」と「一発勝負」です。とくに見落とされがちなのが、地方をひとくくりにしてしまう発想です。ここに私の2段階移住の失敗と学びがあります。
地方の中でも都市部と山間部で全く違う
多くの移住記事は「田舎か都会か」で語りますが、これは粗すぎる分け方です。同じ大分県でも、県庁所在地の大分市と、山あいの日田市では暮らしの手触りがまるで違います。私は2021年に品川区から大分市へ、2024年に大分市から日田市へと移りました。地方の中にも都市部と山間部があり、合う・合わないが分かれる。これは移住を一度した後に初めて実感したことです。(この2段階移住とフルリモート会社員としての条件はフルリモートで地方移住はできる?会社員の2段階移住体験談で詳しく解説しています)
「同じ家賃で広くなった」満足の裏で失ったもの
大分市への移住は、多くの点で満足でした。同じ家賃で1DKから2LDKへ広くなり、街の利便性も東京の主要駅エリアに引けを取りません。ところが暮らすうちに、空港や他県へのアクセスが不便で、旅行の自由度が下がったことに気づきました。私にとって旅行は大切な時間だったので、この「移動のしにくさ」は地味に効きました。家の広さという分かりやすい満足に気を取られ、自分が本当に大事にしていた価値を確認しきれていなかったのです。これこそ、チェックリストの交通項目を軽視した生きた失敗例です。
移住前チェックリスト|後悔を潰す確認項目

ここからが本題です。後悔の7パターンを、移住前に確認できる項目へ落とし込みました。自分の状況に当てはめ、「これは大丈夫」「ここは要確認」と印をつけながら読んでみてください。全部に丸がつかなくても構いません。譲れない項目がどこかを知ることが目的です。
暮らし編(家賃・光熱費・買い物・気候)
- 家賃と光熱費の相場を、都市ガスかプロパンかまで含めて調べたか
- スーパー・ドラッグストア・病院までの距離を確認したか
- 一番厳しい季節(豪雪・台風・寒暖差)の気候を調べたか
- ゴミ出しや上下水道など、生活インフラのルールを確認したか
交通・アクセス編(近隣都市/空港/車前提の生活)
- 車は1人1台必要か、維持費を家計に織り込んだか
- 近隣都市・最寄り空港までの実際の所要時間を調べたか
- 帰省や旅行など「外に出るとき」の動きやすさを確認したか
- 公共交通の本数と最終便を調べたか
私が大分市で後悔したのは、まさにこの「外に出るときの動きやすさ」でした。日常の便利さは十分でも、県外への移動が不便だと、旅行好きにはボディブローのように効きます。日常の利便性だけでなく、非日常の移動まで含めて確認してください。
仕事・お金編(収入源・ネット環境・リモート維持)
- 移住後の収入源は確保できているか(転職か、リモート維持か)
- 自宅の回線速度・携帯の電波は仕事に耐えるか
- リモートワークの場合、勤務先の居住地ルールを確認したか
- 収入が下がる場合、下がった分を生活費の低下で吸収できるか
フルリモートを維持できるなら、地方移住で最も重い「仕事・収入」の後悔を回避しやすくなります。会社員という属性は、移住においてむしろ強みになり得ます。
人・地域編(自治会・コミュニティ・お試し移住)
- 自治会や近所付き合いの濃さを、現地の人に聞いたか
- 移住支援制度や相談窓口があるか調べたか
- 季節を変えて複数回、現地に滞在したか
- 同世代や気の合いそうなコミュニティがあるか
日田の古民家に移ってから、地域付き合いの濃さは確かに感じています。回覧板はありますし、自治会もあります。川の清掃や山の清掃といった共同作業もあり、山の清掃では落ち葉を掃きながら歩く、半分登山のようなイベントに参加したこともありました。数年に一度のペースだそうです。大分市や東京にいた頃には想像もしなかった地域行事の多さで、正直、大変な面もあります。それでも、賃貸という身軽な立場だからこそ、面白い体験として楽しめている実感があります。
幸い、周りに住んでいる方はいい人ばかりでした。姿を見かけたら気持ちよく挨拶するくらいの距離感で、深く干渉してくるような地域性ではありません。ただしこれはあくまで私の感覚ですが、田舎度が高いほど、干渉性の高い付き合いが発生する可能性は上がるかもしれません。移住前に、周りにどんな人が住んでいるか、地域の不動産屋や自治体に探りを入れておくと安心です。
空き家バンクを使う移住なら、移住支援業者とやり取りする機会もあるはずです。地元に詳しい担当者が対応してくれることが多く、こうした地域性の情報も自然と集めやすくなります。私自身、そのようにして情報を得ることができました。
後悔を減らす移住の進め方(一発で決めない)

チェックリストを踏まえたうえで、進め方のコツは2つです。「一発で決めない」ことと、「目的を先に言葉にする」こと。この2つがあるだけで、後悔の確率は大きく下がります。
季節を変えて複数回訪れる
移住先は、旅行の目線ではなく生活の目線で見る必要があります。夏の心地よさだけで決めず、冬や梅雨など一番厳しい季節にも足を運んでください。可能なら数日〜数週間のお試し移住で、買い物や通院、通信環境まで実地で確かめると安心です。
「目的」を言語化してから移住先を選ぶ
私が大分市で交通の後悔をしたのは、「自分は旅行の自由を大事にする」という目的を、言葉にしきれていなかったからです。広い家がほしいのか、自然が近い暮らしがしたいのか、事業を始めたいのか。目的が明確なら、チェックリストのどの項目を優先すべきかも自ずと決まります。私の場合は、自営業を本格化させ、農業や民泊を組み合わせた暮らしを目指す方向が固まりました。この目的が言葉になったことで、日田という選択に納得できたのです。
まとめ

後悔ゼロの移住はありません。それでも、致命傷は事前の確認でかなり避けられます。最後に要点を3つに絞ります。
- 後悔にはパターンがある。7つの理由を知り、チェックリストで自分の状況に当てはめる
- 地方はひとくくりにできない。都市部と山間部の違いを踏まえ、一発勝負にしない
- 目的を先に言葉にすれば、優先すべき確認項目が見えてくる
私自身、大分市で交通の後悔をしましたが、それがあったからこそ日田では自分の目的に沿った選択ができました。後悔は避けたいものですが、次の一歩のヒントにもなります。


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