田舎移住はネット環境に要注意|光回線が来なかった実録

移住・暮らし

田舎への移住が決まって物件も見つかったら、ひと安心ですよね。でも、その家にネットは来ていますか?

我が家は引っ越しの1か月前に調べ始めて、焦りました。光回線は来ておらず、ケーブルテレビは開通が間に合わず、ホームルーターは会議ができる速さが出ませんでした。最後に残った手段で、引っ越し当日にギリギリ間に合いました。

同じ目にあわないために、引っ越しの2か月前から何を確かめればいいかを、時期つきのチェックリストにまとめました。

引っ越し1か月前、ネットがない?

我が家では、光回線・ケーブルテレビ・ホームルーターと、選択肢が1つずつ消えていきました。

私たち夫婦は2人ともフルリモートで働いていて、日中はずっとネットにつないでいます。オンライン会議も多く、ネットが止まれば仕事も止まります。

2024年11月末、大分市のマンションから、日田市の空き家バンクで借りた古民家へ移りました。マンションの光回線は、いつも下り200Mbps前後が出ていて快適でした。

「光回線かホームルーターのどちらかは使えるだろう」と軽く見ていたんですが、引っ越しの1か月前ごろに不安になって調べ始めました。「ネット環境を作れない地域がある」という発想が、そもそもなかったんです。

引っ越しの段ボールが積まれた部屋で、ノートパソコンを前に電話で回線の問い合わせをする人物の後ろ姿

光回線

まずNTTに新居の住所を伝えると、光回線が通っていないエリアだという答えでした。いきなり1つ目の道がふさがって焦りました。

ほかの大手の光回線にも聞いたんですが、NTTの回線が来ていない以上、答えはどこも同じでした。ここで、かなり絶望しました。

ケーブルテレビ

次に当たったのは、地元のケーブルテレビのネットです。300Mbpsと100Mbpsのプランがあって300Mbpsを希望したところ、我が家の住所では100Mbpsしか選べないと言われました。

100Mbpsは「最大」の数字で、実際の速度はそれより低くなることもあります。マンション時代の200Mbpsと比べると不安だったんですが、契約できるだけましだと思って手続きを進めました。

ところが、引き込み工事に1か月ほどかかると言われました。計算すると、引っ越し後2週間ほどはネットにつながりません。「2週間仕事を休みます」とは言えないので、見送りました。

ホームルーター

残ったのは、工事のいらないホームルーターです。大手キャリアのホームルーターを試しに契約し、古民家の電気の契約だけ先に済ませて、引っ越し前に現地で試しました。

結果は、下り約1Mbps、上りは数kbpsでした。上りは、会議で自分の映像や声を送るときに使う速さです。Zoomの公式資料では、HD画質(720p)のグループ会議の目安が1人あたり上り2.6Mbpsなので、桁がいくつも足りません。

半ばダメ元だったので、すぐに解約しました。都会ならホームルーターで足りる家も多いと思うんですが、田舎だとこういうこともあります。

最後に残ったのは空

調べ直して見つけたのが、衛星インターネットのスターリンクです。「空さえ見えればつながる」という触れ込みに、最後の望みを賭けました。

古民家の裏は小さな山で、林が空をさえぎる場所もあります。空が開けた平らな置き場所がなかったので、地元の業者に頼み、引っ越し当日に屋根へ取り付けてもらいました。

取り付けるまで試せないイチかバチかだったんですが、設置当日につないでみると、下り200〜300Mbps・上り50〜70Mbpsが出ました。マンションの光回線とそん色ない数字で、本当に安心しました。

時系列で振り返ると、スターリンクがなければ、引っ越したあと仕事ができない大惨事になっていました。屋根への取り付けの話は、スターリンクの口コミ記事でも書いています。

田舎に光回線が来ない理由

家が少ない地域は、回線を引く費用に対して使う人が少なく、採算が取りにくいため、光回線の整備が後回しになりやすいとされています(総務省 情報通信白書)。国の補助などで整備は進んでいますが、まだ光回線が来ていない家もあります。

しかも、多くの光回線はNTTの回線を借りて提供されています。そのため、NTTの回線が来ていない場所では、会社を変えても選択肢がほとんど残りません。

NTT東日本・NTT西日本の回線を借りて、ほかの会社が自社の名前で売る仕組みを「光コラボレーション」といいます。名前の違う会社に申し込んでも、元の回線が来ていなければ、同じ「エリア外」の答えが返ってきます。地域によっては、電力会社系など独自の回線を持つ会社もあります。

光回線の代わりになるもの

光回線が来ない家で候補になるのは、主にケーブルテレビ・ホームルーター・モバイルWi-Fi・スターリンクの4つです。

回線 仕組み 向く家 気をつけたい点
ケーブルテレビ 地域の会社の線を家に引き込みます ケーブルテレビのネットが来ている地域の家 住所によってプランが限られることや、開通まで時間がかかることがあります
ホームルーター 携帯の電波を受けて、家の中をWi-Fiにする置き型の機器です 家の中で携帯の電波がよく入る家 基地局からの距離や地形で、速度が大きく変わることがあります
モバイルWi-Fi 携帯の電波を使う、持ち運べる小型の機器です 家の中で携帯の電波がよく入る家 電波次第なのはホームルーターと同じです。通信量に上限があるプランもあります
スターリンク 人工衛星と通信するアンテナを屋外に置きます 屋根や庭などから空が大きく開けている家 強い雨や豪雨で途切れやすくなることがあります。空の見え方によっては取り付け工事が要り、光回線より月額が高くなる可能性もあります

モバイルWi-Fiは我が家では試していないので、表は一般的な特徴として見てください。

引っ越し前のチェックリスト

ネット環境の確認は、引っ越しの2か月前から始めると安心です。我が家は1か月前に動き出して、ギリギリ間に合いました。

壁のカレンダーに印をつけながら、引っ越し前にネットの準備を進める人物の後ろ姿

引っ越し2か月前

  • 光回線の提供エリア: 新居の住所で、NTT東日本・NTT西日本の公式サイトから調べます。独自回線の会社がある地域なら、そちらも調べます。
  • ケーブルテレビのプランと開通日数: 光回線が来ないなら、その住所で選べるプランと、開通までの日数を聞きます。
  • 家の中のスマホの電波: 現地に行けるなら、家の中で電波の入り具合と速度を見ます。ホームルーターと同じ会社のスマホで測ると、使えそうかの目安の1つになります。

引っ越し1か月前

  • ケーブルテレビの申し込み: 使うなら、遅くともこの時期には申し込みます。開通日が引っ越しに間に合うかも確かめます。
  • ホームルーターの現地テスト: 電気の契約だけ先に済ませ、新居で速度を測ります。合わなかったときに備えて、解約の条件も契約前に確かめます。クーリングオフに似た「初期契約解除制度」などの対象か、その期限、機器代の扱いの3つです。
  • スターリンクの空の見え方: 公式アプリの「障害物をチェック」で、置きたい場所の空がさえぎられていないかを調べます(公式サポート)。
  • 取り付け業者と機種: 工事が要るなら、対応している地元の業者を探し、機種と金具を確かめます。

引っ越し2週間前

  • 開通日・取り付け日の確定: 引っ越し日に合わせて確定させます。我が家は引っ越し当日に取り付けてもらいました。
  • つなぎの手段: 開通が間に合わないなら、スマホのテザリングなど、それまでのつなぎ方を決めておきます。家の中で携帯の電波が弱いと、テザリングも頼りにならないことがあります。

引っ越し当日

  • 速度の確認: 開通や取り付けが済んだら、仕事部屋など、ネットをよく使う部屋で速度を測ります。

役所やライフラインも含めた引っ越し全体の段取りは、地方移住の手続きとやること|遠距離でも漏れない順番にまとめています。

物件を決める前に見ておきたいこと

物件がまだ決まっていないなら、内見のついでにネットの手がかりを集めておくのがおすすめです。

我が家は、物件を決めた時点ではネットのことを考えていませんでした。物件探しの段階で手がかりがあれば、引っ越し前に慌てる時間を減らせるはずです。

  • スマホの電波と速度: 家の中と庭で、スピードテストのアプリを使って測ります。
  • 空の開け具合: 屋根や庭から空が大きく開けているか、裏山や高い木にさえぎられていないかを見ます。
  • 前の住人の回線: 大家さんや不動産会社に、前の住人がどの回線を使っていたかを聞きます。
  • 地域のネット事情: 空き家バンクの物件なら、自治体や仲介の担当窓口に聞いてみます。

空き家バンクでの物件探しの流れは、空き家バンクとは?古民家に賃貸移住した体験談で紹介しています。

リモートワーカーは「空」を見よう

光回線やホームルーターが使えなくても、空が見えるなら、スターリンクで何とかなる可能性が高いです。

我が家では、2026年10月に公式アプリで測ると、下り311Mbps・上り34Mbpsでした。この日の下りは、マンション時代の光回線より速いくらいでした。約2年、東京や大分市にいたころと同じように仕事ができています。

弱点は天気で、強い雨や、線状降水帯のような豪雨では途切れやすくなることがあります。

晴れた日の古民家の屋根に白い平らなパネル型アンテナが立ち、縁側の奥でノートパソコンに向かう人物の後ろ姿

速度や雨の日の様子、取り付けや費用の詳しい話は、スターリンクを約2年使った口コミにまとめています。

まとめ

田舎移住のネット環境について、要点を3つにまとめます。

  • 田舎には、光回線が来ていない家があります。 多くの光回線はNTTの回線を借りているので、会社を変えても選択肢が残らないことがあります。
  • 確認は、引っ越しの2か月前から始めると安心です。 ケーブルテレビは開通まで時間がかかることがあり、ホームルーターは現地で試すまで速度が分かりにくいからです。
  • 空が見えるなら、スターリンクという手があります。 我が家は最後に残ったスターリンクで、設置当日に下り200〜300Mbpsが出て、約2年仕事を続けています。

ネット以外も含めた移住前の確認項目は、地方移住で後悔しないためのチェックリストにまとめました。東京から大分市、日田市へと移り住んだ5年間の流れは、大分移住の全記録で紹介しています。

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