アパート経営のトラブル体験談|1棟目の実録

働き方・事業

アパート経営に興味はあるけれど、実際にトラブルが起きたらどうなるのか、想像がつかず不安に感じている人は多いと思います。私自身、2022年12月に1棟目のアパートを取得しました。満室の状態で買ったにもかかわらず、台風の被害から雨漏り、退去ラッシュ、大規模な修繕までトラブルが立て続けに起きました。この記事では、購入までの準備期間から実際に直面したトラブルの中身、そこから得た実務の学びと、お金以上に価値があったつながりまで、1棟目の実録として時系列で振り返ります。この1棟目の取得は、大分での5年間の暮らしの中の一場面でもあります。

購入までの1年間、相場観トレーニングと株式投資の視点

不動産情報サイトを毎日チェックする夜の机の様子

物件を探し始めてから実際に購入を決めるまで、約1年間かかりました。この間ほぼ毎日、不動産情報サイトで新着物件を確認する日課を続けていたんですが、これがそのまま相場観を養う訓練になったんですよね。毎日スーパーで野菜の値段を見ていると、その日の安い高いが自然と分かるようになるじゃないですか。あれと同じで、収益物件も見続けていると、エリアや築年数、間取りごとの相場感が体に染み付いてきます。

気になる物件が出てくるたびに、簡単な収支の確認もするようにしていました。株式投資で銘柄を選ぶときに売上規模や利益率、自己資本比率といった指標を見るのと同じ感覚です。不動産でも満室時の想定収入や諸経費、ローン返済後に手元に残る利益、取得後に出費が発生しそうな弱点まで、公開されている情報の範囲で確認する癖がついていました。株で培った「数字で確かめる」視点が、そのまま不動産にも生きた形です。

そうやってオンラインでの相場観に慣れてきたころ、机上の空論ではなく実物を見て確かめたいという気持ちが強くなり、実際の内見に踏み出しました。株を始めたときも、副業を始めたときも、大分に移住したときも、結局は行動力があったから前に進めた自覚があります。びびらずに飛び込んで、あとは考えながら進めればいいと思っています。1棟目の物件探しも、その延長線上にありました。

戸建てのはずが一棟アパートへ、デビューの経緯と事業ローンの緊張

不動産会社の応接室で契約書に向き合う手元

当初は戸建てから始めるつもりでした。ところが複数の不動産会社を回り内見を重ねる中で出会ったのが、一棟アパートだったんです。結果的に、戸建てではなく一棟アパートからのデビューになりました。

正直に言うと、契約のときはかなり緊張しました。奨学金以外に借金をした経験がない人間が、住宅ローンではなく事業ローンを組むわけです。まとまった規模の借入を背負う契約書にハンコを押す瞬間は、手が震えるとまではいかなくても、それに近い緊張感がありました。それでも、これまで積み上げてきた収支の見立てを信じて踏み込みました。

初めて家賃収入が振り込まれたときは、「ついに自分が大家さんか」という感慨がありました。株式の配当は余裕資金の範囲でしか動かせませんが、事業ローンを引いて不動産を運営する経験を通じて、大きくお金を動かす感覚を初めて得たんですよね。会社員でありながら、個人事業者としての胆力のようなものが芽生えた瞬間でした。不動産賃貸は、配当・民泊・農のある暮らしと合わせてRyukaという事業体を形づくる柱のうち、最初に育て始めた柱でもあります。

満室スタートで待っていたトラブルの連続

台風の中、フェンスが傾き雨漏りするアパート外観

この1棟目は、築年数が古いぶん破格の利回りで売りに出ていた物件でした。購入時点では満室で、当面の収支には問題がなさそうに見えたんですが、今振り返ると「優良な物件ではなかった」というのが率直な自己評価です。

購入後、トラブルが次々に重なりました。まず台風でフェンスが破損。続いて雨漏りが発生し、その後短期間、具体的には2か月ほどの間に3部屋が同時に退去することになりました。退去した部屋は大改修規模のリフォームが必要になり、さらに外壁を含む大規模な修繕まで発生しました。順番に対処しているつもりが、次から次へと新しい火種が出てくる感覚で、正直「ちょっと待ってくれ」と何度も思ったのを覚えています。

満室で買ったから安心、というわけではなかったんですよね。物件の状態そのものが良好とは限らないし、満室はあくまで購入時点のスナップショットにすぎない、ということを身をもって学びました。

トラブルから得た実務の学び

屋根の修繕箇所を職人と一緒に見上げる後ろ姿

トラブルが起きるたびに、収支計算をやり直しました。致命傷にならない範囲に収まっているか、収益性を保てているかを都度確認する作業です。

学びが大きかったのは、火災保険や地震保険の使い方です。事前に加入していた保険をうまく活用することで、修繕費用の負担を抑えられる場面がありました。保険は「入っておけば安心」ではなく、いざというときにどこまで使えるかを理解しておくことが実務上の力になる、と実感しました。

もう一つの学びは、信頼できる修繕業者との関係づくりです。トラブル対応を重ねるうちに、無理を言っても親身に動いてくれる業者と、そうでない業者の違いがはっきり見えてきました。良い業者と早く出会い、関係を築いておくことが、次のトラブルへの備えになります。

お金以上の価値、大家仲間・不動産会社・士業とのつながり

丸テーブルを囲んで談笑する数人の後ろ姿

ここまで振り返ると、出費のかさんだ物件だったのは間違いありません。ただ、まだ損失で終わる出口ではないですし、それ以上に、この物件を通じて出会った人たちとのつながりが、お金以上に価値があったと感じています。

大家仲間の集まりで知り合った大家さん、信頼できる不動産会社の担当者、そして士業の専門家。会社員をしていたら出会えなかった人たちです。同じ会社にいると、似たような経験や考え方の人ばかり集まりやすいんですが、そうではない人たちと、しかもちゃんと仲良くなれると、年齢が離れていても対等な友人になれるんですよね。上司でも部下でもなく、自分のためにお金を稼ぐという共通の目的を持った仲間、という感覚に近いです。

初めての確定申告も、この物件をきっかけに知り合ったファイナンシャルプランナー(肩書きベース)に相談しながら乗り切りました。税務知識がほぼゼロの状態からのスタートで不安もあったんですが、「初めてなのによくできてる」と声をかけてもらい、ずいぶん救われました。副業を始めると住民税の扱いも変わってきます

トラブル続きでも大家業を続けているのは、お金だけの理由ではありません。なぜここまでして事業を続けているのか、という気持ちの部分は別の記事に書いています。

まとめ

朝日の中でアパートを見上げる後ろ姿

1棟目のアパート経営は、満室で購入したにもかかわらず、台風・雨漏り・退去ラッシュ・大規模修繕とトラブルが連続する船出になりました。今振り返っても「優良な物件ではなかった」というのが正直な評価です。それでも、トラブルのたびに収支を見直す実務の力がつきました。火災保険の活用や信頼できる業者との関係構築という具体的な学びも得られました。何より、大家仲間・不動産会社・士業の専門家という、会社員をしているだけでは出会えなかった人たちとのつながりができました。これは、お金には代えがたい財産になっています。

これからアパート経営を検討する人に伝えたいのは、次の3点です。

  • 満室であることは購入時点の状態にすぎず、物件そのものの良し悪しを保証しない
  • トラブルが起きたときに頼れる保険・業者との関係を、平時から意識しておく
  • お金の計算だけでなく、そこで出会う人とのつながりも、事業を続ける支えになる

トラブル込みではありましたが、この1棟目があったからこそ今も大家業を続けられています。振り返るとやはり、行動して確かめてよかったと思っています。

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