ドコモ上場廃止へ、保有株がTOB対象になったらどう対応すればいい?
ごきげんよう。たこまんじゅう (@tako_waytofire) です。
2020/09/29 NTTドコモ(9437)は上場廃止し、親会社であるNTT(9432)の完全子会社化する意向が決定されました。
これを含めて今後の通信業界に対する私見を以下に述べております。
さて、ドコモの上場廃止に伴って【TOB(株式公開買付)】が発表されました。
TOBとは、証券取引所を経由しない株式の総買い占めです。
基本的には、TOBが発表されると個人投資家は対象株式を手放すことになります。
手放す手続きについてはいくつかのやり方があるため、今回これを整理してみたいと思います。
予期せぬイレギュラーな対応ですが、慌てず落ち着いて対応するための道標になれば幸いです。
【初心者向け】上場とは?廃止されるとどうなるの?
上場=証券取引所への株式公開です。
上場することで、多くの人に知られる機会を得てネームバリューが向上します。
また、個人投資家が参入可能となることで、より多くの資金調達が見込めるようになります。
一方、上場廃止になるとこうした恩恵がなくなり、ドコモのような完全子会社化の場合、親会社が全株式を保有し、経営実権を完全支配されることになります。
【初心者向け】TOBとは?
TOB(Take Over Bid)とは「株式公開買付」と呼ばれるM&A(企業買収)の一種です。
買収を行う企業が、買収対象の企業の株主に向けて、
「一株○○円で買い取ります!」
と、買取株式数・価格・期間を周知して買収を進めるやり方です。
TOBは、指定の証券口座の開設および対象株式の移管と、応募手続きによって完了します。
ここで決まる価格は、市場価格にプレミアを乗せた非常に高値が設定されます。
よって、手放す側の株主とっては基本的に得をする話です。
ドコモのケースを事例にすると、この買収に際して4兆円の予算を充てるとのことです。
結果、1株あたりにプレミアがしっかりと乗って、TOB価格は3,900円/株となりました。(当時市場価格は2,800円/株程度)
TOBにおける個人投資家の対応方針
さて、TOBが発生した際に取るべき対応を調べてみました。
市場売却 | TOB応募 | 買取請求依頼 | 何もしない | |
保有株数 | 単元株 | 単元株/端株 | 端株 | 単元株/端株 |
手数料 | 売却手数料 | 移管手数料 | 取次手数料 売却手数料 | なし |
現金化まで | 即時 | 数日〜数週間 | 数週間 | 数か月 |
確定申告の有無 | 無 | 有 | 有 | 有 |
保有している株数に応じて、大きく4つの対応方針があります。
いずれもメリデメがあるので、以下で詳しく述べます。
市場売却
◆◆メリット◆◆
- 手続きが楽
- 確定申告が不要
TOBが出た以上はその株式を手放すしかありません。
なので、通常の手続きによって売却してしまおうという手段です。
TOBは特殊な手続きに手間を要しますが、こちらはやり慣れた方法で済むので非常に楽です。
特定口座での取引ならば、売却時に税引されるため確定申告も不要です。
◆◆デメリット◆◆
- TOB価格より値落ちする可能性あり
- 単元株だけしかできない
市場価格はTOB価格より若干下回ります。(ドコモの場合、TOB:3,900円/株、市場:3,880円/株程度)
代わりに面倒な手続きをしなくて済むので、大したデメリットではないかもしれません。
ひとつ厄介なのは、市場売却は単元株単位でしかできないところです。
ネオモバなどで単元数未満(端株)の場合はこのやり方ができません。。
TOB応募
◆◆メリット◆◆
- TOB価格(最高値)で売れる
基本的にTOB価格が最高値なので、売却益を最大にする手段になります。
手続きさえやれば、単元株/端株問わず処理可能です。
◆◆デメリット◆◆
- 手続きが面倒すぎる
- 確定申告が必要
一方で、指定証券口座の開設、株式の移管、TOBの応募、と必要な手続きが多いのでとにかく面倒です。
指定証券口座がたまたま開設済ならラッキーですが、そうでない限りは移管手数料がかかることもあり、市場売却の方が良コスパです。
端株保有の場合はやむなく選択肢に入ります。
また、TOBによる利益は確定申告の対象となります。(詳しくは税務署への相談が懸命です)
買取請求依頼 ※単元未満株(端株)向け
※端株売却のためのやり方で、ここではネオモバを想定したご紹介をします。
◆◆メリット◆◆
- TOBよりは手続きが楽
TOB以降、ネオモバでは端株の市場売却ができなくなりますが、この手段によって売却可能です。
ネオモバから信託銀行経由で端株を売却してもらうという形です。
我々がやることはネオモバ宛に依頼書を送るだけなので、TOBよりカンタンです。
詳しい手続きについてはこちらをご覧ください。
◆◆デメリット◆◆
- 手数料が高くなる
- 現金化までに時間がかかる(数営業日)
- 確定申告が必要
ネオモバの取次手数料、信託銀行の売却手数料と、コストがかさみます。
また経由ポイントが多い分、現金として手元に返ってくるには数週間程度はかかる見込みです。
さらにはTOB同様に確定申告の後処理が必要となります。
何もしない
◆◆メリット◆◆
- 手続きが楽(不要)
- TOB価格(最高値)で売れる
TOBに応募せず期間を過ぎても、その後は全株式の強制買取によってTOB価格で売られます。
ただ時を待つだけなので、手続き不要で最も楽な選択肢となります。
また、単元株/端株問わず売却されます。
ただし、以下のデメリットがあることを認識しておきましょう。
◆◆デメリット◆◆
- 現金化までに時間がかかる(数ヶ月)
- 確定申告が必要
- ※TOB後の強制買取があるかどうか確認する
まず、現金化されるまでに要する時間はこちらが最もかかります。
そして、利益に対する確定申告が必要となります。
最後はデメリットというよりは注意点です。
放置しても無価値化しないかどうかをきちんと条件を確認しておきましょう。
TOBが宣言されると、TOBのための手続き案内資料が証券登録住所宛に届きます。
ここにTOBに応募しなかった保有株式がどうなる予定か記載されているので、
「最終的に全部買い占めます」or「TOB後の株式は無価値化します」の旨を確認しておきます。
無価値化するようなら、上記3つの手段いずれかで必ず対応してください。
ちなみにドコモは前者の旨が記載されていたので、放置しても最終的には売却されます。
単元株保有なら市場売却、単元未満なら何もしないのが楽
TOBに際して個人投資家が取るべき4つの対応方針を述べましたが、いずれもクセのある特徴が見受けられます。
なるべく労力を割きたくない場合は、
単元株保有の場合→市場売却
単元株未満の場合→放置
とするのが楽そうです。
ちなみに私は単元未満なので、放置しておくことにしました。
いずれにせよ保有株式がTOBとなると多少面倒な事態になることが今回よくわかりました。。
一方で、TOB価格は破格の高値になりますので、個人投資家的には美味しい話ではあります。
狼狽えず前向きに捉えて、ベストな対応方針を選択するように努めたいですね!
今回は以上です。
最高までお読みいただきありがとうございました!
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